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国民年金の任意加入制度はお得度満点です

1991年4月からは20歳から国民年金への加入が義務となりました。それ以前は義務ではありませんでした。僕が大学を卒業して就職するまでの間は義務化されておらず、国民年金に加入していませんでした。そんな忘れてしまった頃のことをいまさら吟味するようになるとは、人生不思議なものです。

更新情報

2022年5月からの制度改正の内容を更新しました。

老齢基礎年金を満額もらうための条件

国民年金の加入資格は20歳から60歳直前の40年間、480ヶ月です。保険料を免除されていない場合は、この480ヶ月保険料を支払って初めて老齢基礎年金を満額もらえます。(480ヶ月を超えて納めることはできません。)

僕の場合20歳からの数年間は大学生活を満喫していて、国民年金のことは全く気にしていませんでした。そのため、僕の年金記録を見ると見事に未加入期間があります。

僕の年金記録、20歳から

引用:ねんきんネット

34ヶ月です。その後はただの一月も未加入はありません。免除もありません。このままだと60歳になった時点で僕の加入月数は446ヶ月にしかなりません。480ヶ月に7.08%足りません。

34ヶ月の未加入期間の影響

現在老齢基礎年金は満額で年間781,700円です。僕はこのままだと7.08%減額になるため、726,356円に(55,344円だけ)下がります。そりゃ34ヶ月間保険料を払っていないのですから下がるのは当然です。

任意加入制度という救済措置があります

僕の場合、未加入だった34ヶ月分を60歳になってから支払うことができます。60歳になったけど480ヶ月に満たないのでその足りない月数分任意で加入して保険料を払います、というものです。次の制約があります。

  • 任意加入できるのは60歳から65歳になる前までの5年間限定です。
  • 480ヶ月を超えて加入することはできないため、480ヶ月に到達したら自動的に脱退になります。
  • 年金の繰り上げ支給を受けることはできません。

僕の場合は繰り上げ支給は受けないので、問題なく任意加入できます。なお、お得な付加年金も利用できます。

任意加入して34ヶ月分払うのは得か?

付加年金がお得なのは分かっているのでそれは省きます。現在国民年金保険料は16,540円です。今後も上がると思われますが、とりあえずここでは16,540円として計算します。34ヶ月なので支払総額は16,540円×34=562,360円です。その結果老齢基礎年金は前述の762,356円から満額の781,700円に復帰します。年間55,344円の増額です。

つまり、562,360円を追加で払った結果老齢基礎年金は年間55,344円しか増えませんので、「元を取る」という視点では10.2年もかかります。なので75歳ぐらいで死んでもいいやと思っている人だと損する計算です。僕は85歳はクリアしたいと思って生活しているので、それができれば間違いなく得します。

任意加入には他にもメリットがあります

保険料は全額所得控除の対象になります。それは当たり前ですね。もう1つあります。国民年金基金にも加入できるのです。

国民年金基金に加入できる方

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者および60歳以上65歳未満の方や海外に居住されている方で国民年金に任意加入されている方が加入できます。

引用:国民年金基金、誤記訂正済

60歳以降も加入できるようになったのは近年です。

国民年金基金は、これまで国民年金の保険料を納めている20歳以上60歳未満の方が加入できる制度でしたが、国民年金法の一部改正により、国民年金に任意加入されている60歳以上65歳未満の方も国民年金基金に加入できるようになりました。

引用:国民年金基金

僕は個人型確定拠出年金を利用しています。個人型確定拠出年金と国民年金基金は排他の関係なので、併用しても拠出金の総額が制限されます。そのため国民年金基金には加入していませんが、個人型確定拠出年金は60歳になると拠出できなくなります。そこで、僕の場合はたったの34ヶ月ですが総額220万円ぐらいは所得控除対象にできるのです。

国民年金基金は不人気というイメージが強いですが、妻が利用しているケースはどうなのか、僕が60歳以降に34ヶ月加入するのは得策なのかについて次の記事で検討しています。

その結果、60歳以降に国民年金基金に加入するのは得策ではないと判断しました。

60歳以上でもiDeCoに拠出可能になります

iDeCoは、現在は60歳の誕生日前までしか拠出できません。これを2022年5月から、次の対象者に限り、65歳の誕生日前まで拠出可能になります。

  • 国民年金の第2号被保険者である。
  • 国民年金の第1号被保険者で、任意加入中である。

60歳以上であっても、任意加入中は国民年金の被保険者なので、iDeCoに拠出できます。拠出できるということは、次の2点がメリットになります。

  • 拠出年数から算出される、退職所得控除額が増えます。
  • 投資対象の元本が増えます。

また、すでに運用指図者になっていても拠出可能になります。

別記事のコメント欄で質問を頂きました。

拠出可能年齢の延長が2022年5月以降とのことですが、例えば2022年4月に満60歳の誕生日を迎えた人はこの変更は適用されないという事でしょうか?

これについて、僕のiDeCo口座がある松井証券に問い合わせたところ、最初の回答はこうでした。

  • 2022年4月以前に60歳になって運用指図者だった場合でも、条件を満たしていれば(厚生年金に加入中など)、再度拠出可能になると思われます。
  • が、その場合の手続きがどうなるかについては正式な案内を待っているところです。

が、2022年4月に再度問い合わせたところ、想定通り任意加入中なら運用指図者から再加入して拠出を再開できるとのことでした。僕は松井証券から申請に必要な書類を送ってもらいました。

結論:任意加入制度はお得度満点です

若い時の無知な行い(国民年金に加入しなかったこと)を期間限定で救済してくれるのが任意加入制度です。これは間違いなく救済措置です。任意加入時は保険料5%増しとかもありません。極めて良心的な制度ではありませんか。

もちろん、早死したら損してしまいます。でも、公的年金制度は長生きリスクに対応するものです。損得勘定ではなくて、いつまで生きるか分からないことに備えるのが良いと思います。

妻も同類です

僕の妻も月数は違いますが(誕生月によるわけです)大学生活を満喫したようで見事に20歳から22歳まで未加入期間があります。僕同様、60歳になったら任意加入制度を利用します。

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