インデックス投資

【海外ETF】VT、VTI、VOOのデメリットを分かりやすく解説します

近年はインデックスファンドの選択肢が増え、信託報酬の低廉化が進み、少額投資非課税制度が充実したことで、VTやVTIやVOOなどの海外ETFを自分で買わなくても良くなってきました。海外ETFが好きだとか、つみたてNISAの非課税枠年間40万円を埋めてもまだ余裕資金がたっぷりある場合を除いて、インデックスファンドを選択するのが良いです。

ベンチマーク的に次の商品で良いなら、インデックスファンドを選択した方が圧倒的に有利です。

  • 楽天全世界株式
  • eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
  • 楽天全米株式
  • eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
  • SBI・V・S&P500
  • SBI・V・全世界株式
  • SBI・V・全米株式

ベンチマークあるいは投資対象としてインデックスファンドにお目当てのものがなく、デメリットを承知の上で海外ETFを買いたいのであれば、それはそれで良いと思います。

また、もし年間数千万円を投資できる余裕資金と度胸があるなら、話は別なのでここでブラウザーの戻るボタンを押されて結構です。

以下、海外ETFを単にETFと表現します。

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一株単位でしか買えないことで生じる機会損失

ETFは株式の一種なので、一株単位でしか買えません。たとえばこんな感じです。(1ドル=120円で計算)

  • VTは現在98ドル程度なので11,760円の倍数でしか買えません。
  • VTIは現在220ドル程度なので26,400円の倍数でしか買えません。
  • VOOは現在402ドル程度なので48,240円の倍数でしか買えません。

毎月5万円で積立投資したいと思っても、それで買える株数しか買えません。インデックスファンドならぴったり5万円だけ買えますから、ETFを買う場合に出る端数は機会損失となります。何故ならリスク資産への資金投入は、統計的には、早ければ早いほど良いとされるからです。

たとえば毎月5万円の予算でVTIを買おうとしても現在の株価では3株しか買えないため3,000円程度余ります。その3,000円はインデックスファンドなら余ることなくリスク資産に投入されるのです。

投資予算を余らせることによる機会損失、もったいないと思いませんか。

円をドルに替えるための為替手数料が必要

ETFを買うには円をドルに替える必要があります。その際の為替手数料は、一般的には1ドルあたり25銭です。SBI証券と住信SBIネット銀行のあわせ技で4銭です。(1銭は0.01円です。)

VTIを3株、79,200円分買うには660ドル程度必要で、為替手数料は165円程度または26円程度(4銭の場合)必要です。

インデックスファンドの場合、為替手数料は運用コストに含まれていて、別途請求されることはありません。また、取引の規模が違うので1ドルあたり25銭とかいうサラ金みたいな手数料率ではないと言われています。

高率の為替手数料、もったいないと思いませんか。

購入時手数料が必要かも

購入時手数料は楽天証券、SBI証券、マネックス証券だと取引金額の0.45%(税抜き)です。上限は20ドル、下限は撤廃されました。下限が5ドルだった頃は約11万円以上にして買わないと手数料負けしていました。

この購入時手数料、証券会社を選べば、銘柄によっては無料です。VT、VTI、VOOなら無料で買えますね。

インデックスファンドも一昔前は購入時手数料数%が当たり前だったようですが、最近のローコストインデックスファンドはノーロードと呼ばれる購入時手数料がかからないものが普通です。そして、ノーロードはつみたてNISAの要件のひとつです。

配当金に国内課税されます

VT、VTI、VOOを保有すると年4回配当金が出ます。配当金は米国で10%課税後に国内で20.315%課税されてからドルのまま証券会社の口座に入金されます。それらETFを買う目的が資産形成であるなら、配当金は速やかに再投資した方が良いです。配当金の再投資による複利効果が期待できるからです。

良質なインデックスファンドの場合、配当金は分配しないで再投資されます。その際、国内課税は適用されません。

非課税口座でない場合、売却益への譲渡税課税により、繰り延べた配当金への課税が行われます。最終的には国内課税されるものの、課税の繰り延べ+複利効果は馬鹿になりません。

配当金への即時国内課税、もったいないと思いませんか。

一株単位でしか再投資できません

ETFは一株単位でしか買えませんから、配当金の再投資も一株単位でしかできません。

配当金は配当金の額✕保有株数ー税額で決まります。現在の取引価格が安い方が再投資しやすいです。配当金は再投資できるまで証券口座に残り、それはきっとほとんど利を生みませんから、インデックスファンドに比べて機会損失になります。(配当金に、次の定期拠出時の資金を足してETFを買う、という考えもありますが、その場合でも取引価格の倍数の金額でしか買えません。)

日本の良質なインデックスファンドの場合、100円から1円単位で投資できるのと同様に、配当金の再投資も無駄なく行われます。配当金の再投資で機会損失は発生しません。

一株単位でしか再投資できないなんて、もったいないと思いませんか。

売却時にも手数料が必要

あなたの存命中かどうかは別にして、いつかはETFを売却することになるでしょう。一株単位でしか売却できませんが、それは大した制約ではないと思います。問題は、売却時にも取引手数料がかかることです。負担率は税込み0.495%です。4,445ドル(約47万円)以上まとめて売るのであれば、上限20ドルにより負担率は減ります。

証券会社を選べば一部の銘柄の購入時手数料はかかりませんが、売却時の手数料はかかるようです。

インデックスファンドの場合、解約時信託財産留保額がゼロなら(売却時手数料はきっとないので)売却時に費用は発生しません。最近のローコストインデックスファンドだと解約時信託財産留保額はゼロだと思います。そのため少額から気軽に売却できます。

売却時の手数料、もったいないと思いませんか。

ドルを円に替えるための為替手数料が必要

日本で生活するのなら、ETFを売却後、ドルを円に替えることになるでしょう。その際の為替手数料は、一般的には1ドルあたり25銭です。高率の為替手数料、もったいないと思いませんか。

なお、売却時の為替手数料も、SBIネット銀行+SBI証券の合わせ技で1ドルあたり4銭にできるそうです。

いわゆる投信マイレージがない

証券会社と商品で大きく変わりますが、インデックスファンドなら保有資産額に応じてポイント(いわゆる投信マイレージ)が付与されるサービスが(いずれ絶滅する運命だと思いますが)あります。

同様のサービスはETFにはありません。

クレジットカード決済で買えない

最近ではクレジットカード決済でインデックスファンドを積み立てて、ポイント還元を受ける(月額5万円を上限、ジュニアNISA口座とiDeCo口座を除く)サービスが広まっています。

これは超おすすめの神サービスです。でもETFは対象外です。

結論:買うならデメリットを理解した上で

それらのデメリットを考慮してもなお、ETFのガチホ中は超低率の経費率しかかからないメリットを重視するとか、大金を投入後にETFから得られる配当金を再投資する気はなく、嬉々として消費に回す(配当金生活)など、立場によってはETFの方が有利という人もいるでしょう。

また、つみたてNISAでは海外ETFは買えません。海外ETFを考える前に、つみたてNISAとiDeCoを優先した方がいいです。それらの枠を満たしてもまだ余裕資金がある場合、デメリットを理解した上で選択するといいと思います。

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