基礎知識

SEOに強いとされるトピッククラスターモデルとは

トピッククラスターモデルで記事群を構成することで、そうしない場合よりもGoogleから高い評価が得られるとされています。つまり、SEOに強いモデルということですね。

SEO界隈では都市伝説だったり噂にすぎないものも多くありますが、トピッククラスターモデルは信じて良さそうです。

でもトピッククラスターモデルを採用すれば済む話ではなく、読者満足度の高い、高品質な記事が書けることが前提条件です。

トピッククラスターモデルとは

HubSpot社が2016年に発表した「トピッククラスターモデル」は時間をかけて普及し、2020年頃には日本でもサイト設計の主要な考え方として頻繁に取り上げられるようになりました。長期間に渡って支持されている、時代遅れになっていないという事実は、トピッククラスターモデルの普遍的な有効性を示していると考えています。

Googleの検索エンジンの特性をハックするような手法だと、人気が出て実践する人が増えるとGoogleがコアアップデートで対策するのは時間の問題です。トピッククラスターモデルはそういうものとは全く異なります。本質的に読者満足度の向上に寄与する考え方なので、今後も有効であり続けられるはずです。

以下、登場する3枚の図はHubSpot社がトピッククラスターについて解説した記事からの引用です。

トピッククラスターを説明した図

  • 輪の中心にあるのがピラーコンテンツです。ピラーとは「柱」のことです。
  • ピラーコンテンツの周辺にあるのがクラスターコンテンツです。
  • ピラーコンテンツとクラスターコンテンツは内部リンクでつながれています。

トピッククラスターモデル導入前は、異なる話題の記事が分類されないままサイト内に存在していました。

トピッククラスターモデル導入前のサイトの状態

サイト設計をしないまま記事を書き続けるとこうなります。

HubSpot社はトピッククラスターモデルを導入して、次のようなサイト構造に変更しました。

トピッククラスターモデル導入後のサイト構造

Googleの検索エンジンはサイトマップと内部リンクを使ってサイト内をクロールすることで、サイト構造を把握します。各記事の評価(検索順位)はこのサイト構造、記事群の構成を元に行われますから、検索エンジンが理解しやすい構造にするのは理にかなっています。

また単にピラーコンテンツとクラスターコンテンツを内部リンクでつなぐだけではなく、内部リンクを適切に設置することで読者が記事群内を回遊できるようになり、読者満足度の向上につなげられます。

HubSpot社をはじめ、トピッククラスターを実践した多くのサイトで良好なSEO効果が確認されたと言われています。ネットの情報を見る限り、トピッククラスターモデルは全世界的に有効であると認識されているようです。

トピッククラスターモデルでの記事の書き方

キーワード偏重からトピック重視へ

記事を書く際にSEOを意識し過ぎた結果、記事内容がキーワードに偏重してしまったのでは逆効果です。それでは読者満足度の高い、高品質な記事にはなりません。キーワードではなくてトピック(話題)を重視して記事群を構成する、というのがトピッククラスターモデルの理念です。

あるテーマ、話題について記事を書くことを考えたとします。1記事で読みやすい文章量の目安である3,000から5,000文字以内で完結しない場合や、内容的に複数の記事で構成した方が好ましい場合は、トピックで記事を分けることを検討します。その思考の過程ではキーワードを意識することも重要ですが、優先すべきはトピックです。

ピラーコンテンツの書き方

ピラーコンテンツ(ピラーページとも言います)は、あるトピックが狙う(やや広めの)キーワードで検索上位にランクインすることを目標にします。SEOの観点で欲しいのは大量のトラフィックで、そのためには広めの(大きな)キーワードで検索上位を取る必要があります。ピラーコンテンツでロングテールキーワードを狙うのがダメとは言いませんが、それは戦略として違う気がします。

狙うキーワードの難易度は、ジャンルとサイトの実力にあったものでないと無益な戦いを挑むことになりますが、トピッククラスターモデルのピラーコンテンツでは相対的に、クラスターコンテンツより大きいキーワードを狙うのがいいです。実際、狙えるはずです。僕はそうしています。

目標は、ピラーコンテンツが個別のキーワードではなくて、幅広いキーワードで検索上位にランクインされることです。そんなうまい話があるのかよと言いたくなるようなことを目指すのです。これこそが、トピッククラスターモデルの理念である、キーワード偏重からトピック重視への変化です。

まとめ記事をピラーコンテンツにする

まとめ記事はピラーコンテンツに最適です。まとめるテーマが広すぎるのは好ましくありませんが、適度な広さのテーマ(よって狙うキワードも大きめになる)のまとめ記事をピラーコンテンツにすると、トピッククラスター全体を構成しやすいです。

  • まとめ記事はより狭いテーマを「まとめる」わけですが、それらの狭いテーマは独立した記事に書きます。
  • まとめ記事だけを読んでも検索意図に応えられる書き方が理想です。さらに詳しく知りたいことがある場合は個別記事を読めばより満足できるのがいいです。そして、ついつい読みたくなってサイトに長居してしまうような、魅力的な記事群で構成されるのが良いです。

主力記事をピラーコンテンツにする

ここで言う主力記事とは、そのサイトにおいて大きな検索流入(トラフィック)を獲得できる記事のことです。まとめ記事ではないけど、そのテーマで読者満足度の高い記事が書ける場合、トピッククラスターモデルで記事群を書くのです。

ちょっと何言ってるか分からないですか?僕が書いた記事「【海外ETF】VT、VTI、VOOのデメリットを分かりやすく解説します」の実例を見て下さい。

クラスターコンテンツの書き方

クラスターコンテンツ(クラスターページとも言います)は、ピラーコンテンツより絞ったテーマで書きます。テーマを絞って深く掘り下げるのがポイントです。

クラスターコンテンツで狙うキーワードはロングテールで良いです。テーマを絞るのですから、自然にそうなるはずです。

そもそも、ロングテールキーワード狙いのクラスターコンテンツで検索順位を上げ、その評価をピラーコンテンツに集めてピラーコンテンツの検索順位(Googleの評価)を上げるのが、トピッククラスターモデルの狙いです。1記事だけでは得られない高い評価を、トピッククラスターモデルで書いた記事群で得ることを目指すのです。

また、クラスターコンテンツは検索ニーズが低い(検索ボリュームが小さい)テーマについても、そのトピッククラスターモデルにとって必要なものなら書くべきだと考えています。これについては意見が分かれるでしょう。正解は、Googleで検索エンジンを開発している人にしか分かりません。

トピッククラスターモデルにおける内部リンクの設置

  • ピラーコンテンツとクラスターコンテンツは、双方向で(相互に)リンクするのが良いです。
  • クラスターコンテンツ間はリンクしなくて良いです。リンクする場合、多すぎると逆効果です。読者がそのリンクを目にした時にどれぐらいクリックする可能性があるか、で判断するのがいいでしょう。

トピッククラスターモデルの実施例

僕が運営しているインデックス投資ブログから、トピッククラスターモデルの実施例をピックアップしました。

記事「MAXIS上場投信シリーズについて教えてください」

MAXIS上場投信シリーズなる投資商品があります。そのシリーズに関心のある読者が読みたくなるような記事を目指しました。

次の記事がピラーコンテンツです。(まとめ記事です。)

クラスターコンテンツはMAXIS上場投信シリーズの個別商品の評価記事です。

次はこのトピッククラスターモデルを可視化したものです。中心にあるのがピラーコンテンツです。関連性が高い記事ともリンクされています。

 

トピッククラスターモデルの内部リンクを視覚化した図

記事「【ツミレバ】もしiFreeレバレッジシリーズを積み立てていたら」

レバレッジをかけた投資商品があり、積立投資する素晴らしいパフォーマンスが得られると宣伝されていました。そのシリーズに実際に積立投資していたら、現在どうなっているかのシミュレーションをした記事です。これはまとめ記事ではありません。

次の記事がピラーコンテンツです。クラスターコンテンツを有効活用しているとも言えます。

次はこのトピッククラスターモデルを可視化したものです。

トピッククラスターモデルの内部リンクを視覚化した図、その2

記事「【海外ETF】VT、VTI、VOOのデメリットを分かりやすく解説します」

YMYLジャンルで個人ブログが大量のトラフィックを獲得するのは無理ゲーです。この記事のトラフィックは少ないですが、僕のブログの読者にとってはダントツの主力記事です。

次の記事がピラーコンテンツです。

次はこのトピッククラスターモデルを可視化したものです。

トピッククラスターモデルの内部リンクを視覚化した図、その3

トピッククラスターモデルで誰も解説しないこと

トピッククラスターモデルをネタにしたブログ記事、YouTube動画はたくさんありますが、実は誰も解説しないことがあります。

  • 設計通りの内部リンク構造になっているか確認する手段。
  • サイト内に存在する複数の、トピッククラスターモデルによる記事群の構造を調べる手段。

トピッククラスターモデルの作り方は解説するのに、確認する手段について解説しないのはどうしてでしょうか。それは、その目的にあった、紹介できるツールがないからでしょう。

内部リンク構造を可視化するには

トピッククラスターの実施例に、内部リンク構造を可視化した図が出てきました。あの図はみな自動生成されたものです。良く存在が知られているツールはどれひとつして、そんな単純なこともできません。

Windowsアプリケーション「Link Map Viewer」は、内部リンク構造の可視化を現実的な方法で行います。

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